書評「ボトルネック」 ピリリと辛い青春ミステリ 米澤穂信
こんばんわ あさのです
最近なんだか書評記事が多めですがしゃーないです、恋愛語ってもわりかし不毛ですのでしゃーない( ´∀` )
古典部シリーズや小市民シリーズで人の死なない青春日常ミステリで人気の米澤氏ですがボトルネックは基本的に空気が暗めで記事タイトルの青春ミステリーというのもあんまりしっくりこないところがあります。人も死んでるし( ´∀` )そんな青春あるか
それでも僕はこのボトルネックが米澤作品の中でも一番好きであり、これほど読んでいて引き込まれる感覚はそうそう体験できるものではありません。とりあえず未読の方のためにあらすじをどうぞ
背表紙のあらすじコピペしますね
亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気が付くと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅に戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、僕は「生まれなかった」人間なのか。世界の全てと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
コピペといいつつ背表紙見ながら全部書き込んでたことは秘密です
ちなみにボトルネックというタイトルの意味は経済学に由来するものでペットボトルの首のように狭まっていることでモノの流れを遅らせてしまうこと。この場合狭まっているボトルネックの部分を改善しないと問題は解決しない。早い話が足手まといや悪影響の原因ということであり、「ぼく」がボトルネックであると思われます。
正直この作品はとことん主人公をいじめぬきます(笑)
「ぼく」と対照的に活発で他者をよく観察し関わろうとする見知らぬ「姉」、自分の生まれなかった世界は自分のいた世界よりもより良いものだったことを知る絶望…
自らの唯一の理解者だった恋人の存在にすがろうとするも,様々な事情でこの街に越してきていた彼女はすでに絶望していてであった人の影響を受けやすい状態であった。「ぼく」と出会った彼女は陰鬱で厭世的となり、楽観主義者オプティミストの「姉」と出会った彼女は底抜けに活発な子であった。元の世界の唯一の良い思い出だった彼女は相手の影響を受ける鏡のような存在であり、結局は「ぼく」は鏡に映った自らを愛していたに過ぎなかったという絶望…
そして彼女の死の真相と止められなかった自分の無力さ…
自分の生まれなかった世界に迷い込んだ「ぼく」に対して世界は容赦なく残酷な現実を突きつける…
この作中で「ぼく」に対して救いは正直ないです( ´∀` )ひでえ
こーゆーどんどん謎がとけていく展開は引き込まれていきますねえ
また舞台の金沢市の描写が細かく、現地の知識があるとより楽しめます
陰鬱なミステリが好きな方はやみつきになると思います
ブルーな読後感ののちにすげえモン読んだなーってなる感覚をぜひ体験してみてください
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